住宅購入を検討中…そもそも本当に借りるより買った方がいいのか?

住宅購入を検討する中で、よく目にする”賃貸VS購入”の比較記事があります。
たとえば、「賃貸で2LDKのマンションを借りた場合12万円かかりますが、
似たエリアで2LDKのマンションを住宅ローンで購入した場合は10万円で住めます。」
といった比較です。
このような比較は実は住宅を購入してもらおうと目論む、住宅業者や不動産業者が
都合の良いように見せた計算であり、これを根拠に住宅の購入を決めることは非常に
危険です。
住宅の購入は、その人が置かれている状況や今後の目指すライフプランによって、
賃貸有利になったり、購入有利になるものです。
当記事では、冷静に賃貸住宅に住み続けることと住宅を購入することについて
検証をしていきます。
月10万円の賃貸物件も40年住めば、5000万!?

パパ!うちはマンション借りてるけど、どれぐらいかかってるんだろうね?
「今までどれだけかかってるか?」とか、「これからいくらかかるのか?」なんて計算したことないな~。
山中さん、百聞は一見に如かずです!まずは一度計算してみましょう!
賃貸物件での暮らし場合で、下記の条件の賃貸に住んでいるとします。
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家賃:月10万円
更新料:2年ごとに更新料1か月分
引っ越し頻度:15年に1回引っ越し
引っ越し時の敷金礼金:3か月分
仲介手数料:1か月分
※敷金は引っ越し費用に利用したと想定します。
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そうすると概算では単純に20年で約2500万円、40年で約5000万円の支払いとなります。
仮に上記家賃を15万円にすると40年で7000万円となります。
たとえば、新築住宅でも東京郊外であれば、3000万円~4000万円の住宅も販売されています。
そう考えると、
「どうせ5000万・7000万円も払うのであれば、買った方がマシだ」と感じるかもしれません。
しかし、それは本当でしょうか?
住宅購入についても考えてみましょう!
住宅購入は、ローン条件により見え方が変わる!?

お話してきた通り、賃貸住宅で月10万の賃貸に40年住めば、5000万円の支払いとなります。
「それなら35年ローンを組んで、買ってしまった方がいい」と感覚的に思えるかもしれません!
しかし、簡単にそのような判断をすることは危険です。
住宅購入の場合は賃貸とは違ったリスクをはらんでおり、
単純に支払総額のみを単純比較してはいけません。
住宅購入の場合には、合わせて考えなければならないことがあります。
それは、今後の「ライフプラン」です。
「家を買う」ということは、多くの方が住宅ローンを利用します。
住宅ローンを利用した場合、30年や35年など長期の支払いを行います。
つまり、簡単に引っ越しをすることができなくなります。
そうなると、あなたが今後の人生プランをどのように考えているかによって、
買っていい方、買ってはいけない方にもちろん別れます。
つまり、支払いの金額だけではない、部分でのメリット・デメリットをしっかりと知り、
自分自身が自宅を購入していい状況にあるのか?
はたまた、今購入してはいけないのか?を判断する必要があります。
そこで、一度賃貸と購入のメリット・デメリットを検討していきましょう!
住宅チラシ見てて、「月々8万円でマイホーム」とよく目にするけど、あれも感覚的に買えそうだと錯覚しているだけかもしれないな。よく考えた方がよさそうだな。
山中さん、その通りです!まずは冷静にそれぞれのメリットデメリットをしっかり把握しましょう!
賃貸のメリットデメリットを考えよう!
賃貸のメリットデメリットを考えてみましょう。
〈メリット〉
・家族構成や住環境などの変化に応じて
その都度ライフスタイルにあった住居へ引っ越しができる。
・隣人トラブルが起きても、引っ越しをすることでの対応が可能。
・収入の現状などの要因で家賃の支払いが難しくなったが場合など、
住居を変更することで、調整が可能。
・老後の選択肢も自由。(老人ホームへ入るなど)
〈デメリット〉
・家賃を払い続ける必要がある。
・自己所有ではないため、自由に住居の改築等はできない。
このように、臨機応変に対応ができるのが賃貸住宅です。
ライフスタイルやその時の状況に応じて、
住居を変化させることができることが最大のメリットです。
ただし、家賃を払い続ける必要性があり、
資金面で将来的な計画を事前に準備しておく必要があります。
続いては、住宅購入した場合のメリット・デメリットを見ていきましょう!
住宅購入のメリット・デメリットを考えよう!

次は、住宅を購入した場合のメリット・デメリットを考えてみましょう!
〈メリット〉
・住宅ローンで購入しており、団体生命保険で、
世帯主に万一があっても、住居を残すことができる。
・間取り変更やリフォームなど、自由に行える。
・賃貸住宅よりも月額の負担量は少なく、比較的広い住居に住める。
〈デメリット〉
・状況に応じた引っ越しができない。
・住宅購入の計画が失敗すると、その後の調整が難しい。
住宅を購入する場合は、建物等も自分のものとなり、
自由に改変することができる点は大きなメリットです。
また、購入時に利用する住宅ローン等では、
団体信用生命保険等もあり、保険と同じような役割を担わせることも可能な点は非常に魅力的です。
ただし、購入時の計画をしっかりと立てないと、
簡単には後戻りはできず、大きな損失を被る可能性もあります。
このようにどちらもメリットデメリットがありますが、
結局どのように考えて、賃貸と住宅購入を検討していけばいいのでしょうか?
賃貸と住宅購入、結局どっちがいいの?

賃貸と住宅購入について結局どちらがいいのかというと、
「状況によって変わる!」というのが結論です。
そして、その2つを分かつ大きなポイントは、
「家族があり、住む場所の確保が必然的に必要かどうか?」という点と
「居住地を移動する可能性」とのバランスだと思います。
賃貸のメリットは、自由に居住地を変更することができる点です。
その反対に、住宅購入のメリットは安定した暮らしや保障です。
たとえば、単身で30歳の男性の場合で大手企業の総合職の方に
住宅の購入と賃貸どちらが良いかと聞かれれば、
私であれば、「賃貸」と答えます。
これば、今後のライフスタイルの変化が予想がつかないため、
購入をしてしまうことのリスクの方が大きいと考えるからです。
また、本人に万一があったとしても、住宅を残す必要性もありませんので、 住宅購入は勧めません。
他にも、たとえば、既婚者で30歳の男性で妻と子がおり、地元企業に勤めている方から
住宅の購入と賃貸どちらが良いかを聞かれれば、
「住宅の購入」を勧めます。
住宅を購入することで家族への居住地の保障と主人への万一があった場合の対策もとれるためです。
もちろん、購入物件については慎重に選定する必要がありますが、
基本的には購入に適した物件があれば、購入をお勧めします。
そして、もっとも微妙なのは、
家族もいながら、転勤の可能性もあるという方が、もっとも判断に迷います。
一概に、購入をおすすめすることは致しませんが、
最終的な居住地が決まっている方でなおかつ、
一時単身での対応が可能であるなどの条件を確認したうえであれば、
住宅の購入も検討可能だと思います。
というのも、一度購入した不動産を短期間で売却する必要性がある場合は、
なるべくであれば、購入をしないほうがいいと考えております。
バブル期では、購入した不動産が値上がりをすることはありましたが、
今ではほとんどそんなことはありません。
逆に現在は不動産価格も高騰しております。
このような場面で、高騰時に購入して、
下落途中で売却となり、残債を残した状態で売らざるを得なくなってしまうリスクを
負うことはなるべく避けた方がよいと思います。
現在のトレンドであれば、不動産は基本的に、長期保有が必要です。
うちはどうなんだろう?パパが転勤しないなら、家買うの考えてみてくれないかな~
そうだね!確かにうちは転勤もないから、購入の条件にあてはまっている気がするね!これなら資産価値がありそうな物件があれば、買ってもいいのかもしれない!
山中さん、今伺っている条件だと購入に向いているかもしれません。ただ、まだ学び始めたばかりですので、知識を深めてから、じっくり検討していきましょう!
賃貸と住宅購入のまとめ!

「賃貸で住み続けるのか?」
「思い切って、住宅を購入するのか?」
というテーマは多くの方が迷うところだと思います。
私もファイナンシャルプランナーとしてお客様のライフプランを考える中でも
住宅を購入することについては、時間をかけて検討していく項目です。
もしなんとなく購入を検討してはじめて、
不動産屋に言われるまま、物件探しをしてしまっている方は、
今一度お近くのファイナンシャルプランナーさんなどに相談を
していただいた方がよいかと思います。
ライフプランがない状態での無計画な住宅購入は非常に危険です。
また、購入する不動産についても、今後の価値が落ちてしまうものや、
転売等ができずに、資産価値がほぼないものをつかんでしまう可能性もあります。
私共のようなライフプランナーは中立な立場で、
アドバイスすることができます。
是非、今一路冷静な判断をもとに検討いただけると幸いです。
また、別の記事において、
「良い物件の条件」や「住宅購入の際の注意点」等もまとめていこうと思います。
また、元不動産営業マンが語る、
「不動産営業マンの心理」や「不動産営業マンの選び方」などの記事も
まとめていきますので、参考にしていただけると幸いです。