生前贈与の活用と注意点

相続税の節税対策の中でも比較的取り組みやすくイメージもわきやすいのが、「生前贈与」でしょう。
亡くなる前に財産を渡すことで課税対象財産を減らすことができます。
ただやり方を間違わないように注意する点がありますので、
確認していきましょう!
そもそも生前贈与とは?

生前贈与か…わしはただあげればいいだけかと思っていたが違うのかね?
山中さん、その考え方はだめかもしれません!しっかり生前贈与について理解して、取り組んだ方がいいともいます!
生前贈与とは生存している個人から別の個人へ財産を無償で渡すこといいます。
生前贈与は主に相続税の節税対策を目的としておこなわれます。生前贈与をおこなうと相続税の課税対象となる財産を減らすことができます。しかし、生前贈与の際に贈与税が課税されます。生前贈与をおこなう際は相続税と贈与税を試算し、どうしたら税金が安くなるのか確認する必要があります。
生前贈与のメリット・デメリットを整理

生前贈与でもらった側が贈与税を払わなければいけないと聞いたけど、その辺不安だな…お父さん本当に分かってやってくれてるならいいんだけど…
ワハハ…心配するな…!わしは生前贈与に詳しいからな………すみません。凄腕FPさん詳しく終えてもってもいいですか?
もちろんです。山内さん無理しなくても、初めから詳しい方はほとんどいませんから!ひとつづつ学んでいきましょう!
生前贈与のメリットは何より、財産を自由に贈与できることにあります。
相続の際にも遺言などである程度のことはできますが、ご自身で希望の方に財産を渡せます。
そして、渡した財産についてですが、贈与税は暦年贈与で受けっとった側が年間110万円まで
課税されませんので、時間をかけながら、生前贈与を行うことで相続税の課税財産を分散させることができます。
たとえば、親族が5名いて各自に110万円贈与を行った場合をみてみましょう。
110万円×5人×10年間=5500万円
毎年行うことで、5500万円を贈与税をかけずに移すことができるのは非常に大きな節税となります。
生前贈与はわかりやすく簡単に行えるため、いいところだけに見えるかもしれませんが、注意も必要です。
注意いただきたいのは、上記のように定期的にお金を贈与している場合、「定期贈与」とみなされ、年間110万以下でも贈与税が課税される可能性があります。また、贈与の仕方も注意が必要で、現金で手渡ししていた場合や名義口座に振り替えて実質受取人の管理下にない口座に入金していると贈与として認められないケースもあります。贈与するたびに贈与契約書を作成したり対策を打つ必要があります。
直前3年以内の贈与は相続税の対象となる?

また注意してもらいたいのが、この生前贈与ですが、亡くなる3年前まで行われた相続人への贈与は相続財産に加算します。
被相続人から生前に贈与された財産のうち相続開始前3年以内に贈与されたものです。3年以内であれば贈与税がかかっていたかどうかに関係なく加算します。 したがって、基礎控除額110万円以下の贈与財産や死亡した年に贈与されている財産の価額も加算することになります。
なるほど。暦年贈与で資産を移すとメリットもあるけど、注意点もあるわけか。
そうですね。それから暦年贈与で行う節税対策は比較的、相続が発生するまでに期間があることが前提の対策です。時間をかけてじっくり対策をうてるかたは検討いただけるといいものです。
まとめ

生前贈与は時間をかけた相続税対策です。生前贈与を選択して対策できる方は余裕をもって準備できる方にかぎられます。その他にも相続税対策はありますので、これらを組み合わせて最善の方法を検討すべきだと思います。ただ忘れてはいけないのは、相続税の対策がすべてではないことです。
「争族対策」⇒「納税対策」⇒「相続税対策」です。
忘れずに取り組んでいただければと思います。